ただし、良い住まいづくりは、住み手の「こうしたい」を単純に言葉通りに受け取って、それをそのまま実現すれば事足りるということでもないのです。
例えば、南側に大きな窓を取り、大きなベランダをつくり、階段はゆるやかにし、リビングは大きく、天井を高くする等々は、どんな人にも受け入れてもらえるわけですし、当然設計に組み入れる努力はするわけです。しかし、それだけでない何かを提案しないわけにはいきません。その何かとは、こだわりと言いますか、私共が住まいをつくるときに大切にしている事柄です。そして、住まいづくりは土地という制約の中でしか存在しないわけですから、すべての希望の実現には無理があります。
バランスが大切だと考えています。
そこで、その土地を有効に利用し、要望の整理をして住まいの価値を高める努力をします。
そして、住まう人の深層にある心理で気が付かない部分をも汲み取り、快適性を提供しようというのが私共の姿勢です。
私共は、それをするために住み手とキャッチボールをしながら、その本質を探します。
その理解度が私共の力量だと考えています。
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