外装・内装とも材料はなるべく統一する
外装の場合
いろいろな材料や色をミックスさせた仕上げにするよりも、ひとつか2つの仕上げ方でまとめたほうがコストは抑えられます。
その理由は、施工会社がメーカーや問屋から材料を仕入れる際、多くの種類を少量ずつ仕入れるより、少ない種類のものを多量に仕入れるほうが、それだけ仕入れ価格を低めに設定できるからです。
また、施工する職種も少なくなるため、その点でもコストを下げられます。
職種をしぼる、ということから考えると、外壁をサイディング仕上げにすれば、構造部をつくるのと同じ大工職が担当できるため、コストを抑えられます。
また、窓のサッシも家じゅうであれこれ材質やデザインを変えず、なるべく同じもので統一したほうがコストを下げられます。
以上のように材料の種類を少なく抑えれば、スッキリした統一感のある外観になるというメリットもあるのです。
内装の場合
外装の場合と同様に、内装材もなるべく統一したほうが、コストダウンにつながります。
内装材とは、床、壁、天井に使用する材料や、ドアなどの建具です。
コストダウンにつながる理由も、外装材の場合と同様で、少ない種類のものを多量に仕入れたほうが、仕入れ値を安くできるからです。
また、職種をしぼることについて例をあげると、壁の仕上げを、ある部屋はビニールクロース張りにし、別の部屋はしっくい仕上げにすると、2つの部屋で違う職種の手が必要になるため、人件費が上がってしまいます。
さらに、使う材料の種類が少ないほうが、ムダが出にくい、ということもいえます。
たとえば部屋ごとに違うクロースを使用すると、それぞれ半端に残ってしまい、その分ムダになりますが、家じゅうの壁、あるいは壁と天井を同じクロースで統一すれば、そういったムダをなくすことができます。
ただし、それではあまりにも単調で味気ないと感じる人は、トイレや洗面所のような小さなスペースに、ほかの部屋とは違う、好みの色柄の仕上げ材を使うことをおすすめします。
これだけでも気分を変えるのに効果的なので、試してみてください。
なるべく広く普及している材料を使用する
これは、内装・外装ともにいえることですが、目新しく変わった素材や建材より、広く普及しているものを使ったほうがコストを抑えられます。
普及品=量産品ということで、単価が安いということのほかに、現場の職人さんが使いなれているため、工事がスムーズに進むというメリットがあるのです。
慣れない材料で扱いに手間取ると、工期が延びたり、扱い方をまちがえて工事をやり直したり、といったムダが出て、コストアップにつながってしまいます。
また、建具類などに既製品を用いずオーダーすると、当然コストは上がります。
湿式工法より乾式工法に
湿式工法とは、モルタルやしっくいのような、水を混合した材料を用いて工事を行う工法で、いわゆる左官工事のことです。
これに対して乾式工法とは、水を混合した材料を用いない工法で、たとえば外壁ならサイディング張り、内装ならビニールクロース仕上げなどをさします。
一般的に湿式工法のほうが工事がむずかしく、何回も塗ったり、乾燥させたりするために時間が必要です。
その間、ほかの仕事ができず、日数がかかります。
最近不足している熟練した左官職人の手も必要となるため、人件費のコストが上がってしまうのです。
自然素材にこだわるなら、こんな材料を
「これだけは知っておきたい基礎知識」のところでもお話ししたように、自然素材を多用すると、コストは上がってしまいます。
けれど、どうしてもナチュラルな素材にこだわりたい、という人は、次のような素材を検討してみてはどうでしょう。
天然木のなかで価格が安いのは松です。
また、外壁やウッドデッキのような場所なら、足場を組むのに使う足場板(素材は松)を使えば、さらにコストを抑えられます。
節のある木を利用してコストダウンする方法もあるようですが、工務店に、そのような素材を安く仕入れるルートがないと、かえって高くついてしまう場合もあるので、確認してください。
また、合板を使用するなら、木目をプリントしたプリント合板ではなく、表面に薄くても天然の木をはったものを使用するという手があります。
壁をしっくい仕上げにしたい場合は、自分で塗れるしっくいが登場しているので、DIYが好きな人や、そのための時間をとれる人にはおすすめします。
和室を設ける場合は真壁より大壁に
柱を表に出す真壁の和室にして、長押、鴨居もつくり、床の間も設けると、洋室の2倍近い費用がかかってしまいます。
これは、柱などの材料が高いことと、工事の手間がかかるためです。
ですから、和室を設ける場合は、洋室と同様に柱を壁の中に入れる大壁にして、長押、鴨居、床の間もやめてシンプルな造りにすれば、コストダウンできます。
また、最近は和紙のように見えるビニールクロースも登場。
安価で、いかにも和の雰囲気にしつらえることができます。
設備機器はシンプルな機能に
冷暖房器具、ガス給湯機、シャワーつき暖房便座、浴室乾燥機などの設備機器は、どんどん多機能化が進んでいます。
けれど、多くの機能が備わっていても、それを使いこなせないのでは意味がありません。
機能が多い分、当然コストがかかりますが、使いこなせなくては、かけた費用がまるでムダになってしまいます。
家族のライフスタイルに照らし合わせて考え、機能が少なくても、ほんとうに必要な機能がついている、シンプルなタイプを選んだほうが、コストを抑えられます。
床暖房も空調もいっしょというような、別の機能がひとつになっているタイプは、メンテナンスがしにくいので、その意味でもシンプルな単機能のタイプをおすすめします。
また、エアコンは部屋の優先順位をつけてとりつけるようにします。
現在必要なくても将来必要な部屋は、あとでとりつけ可能なように、コンセントなどを設置しておくとよいでしょう。
バスはシステムバスに
「これだけは知っておきたい基礎知識」の2番目の項目で、工場でできるものはなるべく工場でつくり、現場の手間を省くとコストダウンにつながるという話をしましたが、浴室はこれにあてはまります。
システムバスは壁、床、浴槽に設備が組み込まれて、工場でユニット化されているので、従来のようにタイル張りや防水工事など、別々の職種の職人が連携してつくり上げる現場施工にくらべ、工期も短くてすみ、人件費のコストを抑えることができます。
ただ、システムバスも、ほかの設備機器同様、どんどん多機能化、高級化が進んでいます。
ジェットバスになっているものや、スイッチひとつで浴槽を自動洗浄できるもの、人造大理石の浴槽など、実にさまざまなタイプがあるので、自分たちの暮らしに合った、なるべくシンプルなものを選ぶようにしましょう。
なお、「システムバス」と「ユニットバス」というのは、金額のランクの違いではなく、メーカーによる呼び名の違いです。
システムキッチンを実現させるには「新居には絶対にシステムキッチンを入れたい」とあこがれる女性はとても多いもの。
つい、高級なタイプにひかれてしまい、家全体のコストを考えたときに、キッチンに特にコストがかかる、というケースも多いようです。
なるべくそのようなアンバランスが生じないように、キッチン選びはぜひ冷静に。
高価なタイプなら料理の効率が上がるかというと、そういうわけではありません。
高価なタイプは、あまり必要とは思えない機能がふんだんについていたり、扉やワークトップに高級な素材を使用したりしているのです。
自分の料理のレパートリーなどを考えて、必要最低限の機能のものを選ぶようにしましょう。
たとえば、韓国製の「東和」というメーカーのシステムキッチンは、日本の同等タイプと比較して2分の1以下の価格なので、おすすめ。
ガスコンロなどの設備機器は日本製を入れるので、メンテナンスの点も心配ありません。
照明器具はシンプルに
家じゅうの照明器具を、どれもデザインのこったものにすると、それだけでかなりの金額になってしまします。
照明は、照明器具より、明かりそのものの美しさを楽しむと割り切って、シンプルなダウンライトやスポット照明を多くとり入れることをおすすめします。
これらをすべて白熱灯にすると、ランニングコストがかかりますが、ダウンライトに使える、白熱灯と同じ形の蛍光灯があるので、場所によって使い分けるといいでしょう。
このように、ほとんどの場所をシンプルな照明器具にしておいて、ポイント的にこった照明器具を使うと、メリハリがついて引き立ちます。
造りつけ収納を設けるときは
造りつけ収納を設けると、その分コストがかかるので、まだまだ使える家具や、愛着のある家具がある場合は、新築後も生かせるプランを考えてみましょう。
たとえば、手持ちのタンスをピッタリ置けるウォークインクローゼットはその一例。
こまかい棚をつくらずにすむので、コストダウンにつながります。
造りつけ収納を設ける場合は、家具工事や大工仕事でつくるより、システム収納家具のような既製の家具をとりつけたほうがコストがかかりません。
ピッタリとおさまるスペースをあらかじめ確保しておけば、現場ではとりつけるだけなので、手間が最小限に抑えられます。
メーカーと直接契約するのも一案
冷暖房器具などの設備機器は、工務店を通して入れるより、建主がメーカーと直接契約したほうが、安くなる場合が多いので、検討してみてください(ただし、メーカーに対して力関係の強い大手の工務店の場合は、直接契約するより安くなることが多い)。
その際には、必ず複数のメーカーから合い見積もりをとるようにします。
すると、同様の機種でも、とりつけ工事費も含めて、2割ほどコストに差が出ることが多いのです。
システムキッチンのメーカーは、建主と直接契約を結ぶことは少ないのですが、あきらめずにトライしてみると、意外と安く契約できることがあります。
また、知り合いや家族にメーカー勤務の人がいる場合は、ぜひそのつてを利用しましょう。 |