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ローコスト住宅 山城正幸の設計ノート(1) ――「ニューハウス」掲載


ローコスト住宅 設計例

狭小敷地のローコスト住宅をたくさん手掛けている山城さん。

「狭小敷地になればなるほど、設計力が必要になり、ましてローコストとなると、一般的な設計だけではよいものは建たない。建主と一緒に考え、行動して家づくりをすることで納得するものができる。」とおっしゃいます。

そんな山城さんに家づくりの考え方、実際の家づくりに起こったことをまとめていただくことになりました。 家づくりを考えている方に参考になれば幸いです。

人それぞれ住まいに対する希望があり、目的があると思います。
住まいづくりには、絶対に正しい形はなく、個人個人で違うと思います。
自分にあったつくり方を探し出すことができたとき、はじめて満足に近い家が完成するのではないでしょうか。

特に、「狭小敷地で予算がない」、そんな時は尚更です。
そこで、選択肢のひとつとして設計者に設計依頼をする。
これは、とても賢明な考え方だと思うのです。
ところが、現実にはそういう考えを持つ人は少数派なのです。

何故でしょう?
大きな敷地で、予算たっぷりで、変わった家を設計するのが設計者と思っていませんか?

最近だいぶ一般の人々の意識も変わってきましたが、まだまだイメージはそのようです。

そこで、今回は住宅を中心に設計している設計者が家づくりにかかわるとき、どのような方法で満足のいく家づくりを進めるかについて、私達が小さな敷地のローコスト住宅に取り組み、完成させた実例を挙げながら語っていきたいと思います。

その前にいくつかの整理をしておきたいと思います。
小住宅を直接設計者に頼まない。
それは何らかの理由があるはずです。

私が知るかぎりで多い声は

1設計者に頼むと設計料がかかる
2敷地が狭いので、設計者に頼むまでもない
3普通の家でよい
4その他の方法が自分達に合っているから

設計者に頼めば設計料が掛かります。
私共では、設計、監理料を工事金額の大小にもよりますが、予定工事費の8〜10%いただきます。

それでは、設計者以外の方法で家づくりをすると設計料は掛からないのでしょうか?

大工さんでも、工務店でも、少なくとも間取り図は描きます。 そして、役所に提出する確認申請書には最低、5枚程度ですが図面が必要です。
この行為だけで何十万の単位でお金が掛かります。
「サービスで設計します」といっても人が動くわけです。

このお金はどこから捻出すると思いますか?

実は情報公開をしないからわからないのです。
確かに設計はサービスかもしれません。
しかし、その分あるいはそれ以上に工事費の中に他の名目で上乗せされているとするのが正しいでしょう。

役所に提出する図面程度で見積もりをして、工事金額を決定した場合、その金額の妥当性は一般の人にはわからないのです。
もちろん専門家でもわかりません。
唯一わかるのはその金額で請け負った人だけなのです。

そんなことなら、請負会社に支払う利益の一部を設計のために使った方がよいとは思いませんか?

設計者に10%の設計料を払ってもお釣りがくるかもしれませんよ。

ハウスメーカーにしても同じことです。
「設計はサービスです。うちはコンピューターで設計しますので」と営業マンがセールストークに使っています。
これも不自然です。
その高価なコンピューターはどうやって購入したのですか?
そのコンピューターにデータを入力するのは誰ですか?
コンピューターが設計すると言えども、形にするためには何人もの人達が関わります。

まして、コンピューターまかせの設計では、すべてパターン化したものになります。
しかし、狭小敷地にパターン化した設計では、土地の有効利用はできません。

どんな家づくりにもコンピューターだけでなく、設計者が関わり、設計図をつくる必要があります。
そのためには、費用が必要なことがわかります。


この費用はどうやって徴収するのでしょう?

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ローコスト住宅 設計ノート(1) 狭小地の住まい造り
ローコスト住宅 設計ノート(2) 設計者に依頼しない理由
ローコスト住宅 設計ノート(3) 私共の関わった住まい
ローコスト住宅 設計ノート(4) 合見積の結果



ローコスト住宅 山城正幸の設計ノート(2) ――「ニューハウス」掲載

ローコスト住宅 設計例

小住宅を設計者に頼まない理由として

1設計者に頼むと設計料がかかる
2敷地が狭いので、設計者に頼むまでもない
3普通の家でよい
4その他の方法が自分達に合っているから

が多く聞かれること。

1.についてはそのとおりだが、他の場合はどうなのか?
同じようなことをしているのですから経費はどこかに含まれているというところまでが前回までの話


こうしてみると、設計者に設計料を支払ってその対価を受け取るか、前回書いたようによく分からないところで、設計料の名目でなく工事費の内で徴収されるかの違いということになります。

徴収されるにしても、設計者に払うより金額が安いからよいと思うかもしれません。

それは目的が違うからです。
ハウスメーカーや工務店は工事受注が目的です。
設計はあくまでもそのための手段でしかないからです。
ですから「サービス」という言い方は正しいのかも知れません。

また、ハウスメーカーは「営業設計」と言います。
なかには「このプランの中から自由に選んでください」と。
まさしく設計行為が工事受注のための営業なのですね。

そうなると、その設計で満足する人にとっては、設計者に支払う設計料は高いということになるのでしょうか。

それでは、一般の人達にとって、設計者に頼む際の設計、監理料とは本当に高いものなのでしょうか?

狭小敷地の一般的な建物の規模は30〜35坪前後、工事費2,000万円で設計料10%として200万円。

設計者の設計料というのは、一般に監理料を含みます。
監理とは、現地に行って「設計図どおりに仕事が行われているかどうかを見ること」です。

設計と監理の比率は7:3程度です。
つまり、140万円が設計料です。
この金額で建主と打ち合わせをして2〜3ヶ月かけて図面40枚前後を描きます。
この図面に建築主の希望をまとめるのです。
それから、図面に基づいて出された工務店からの見積りのチェック、工事会社の選択の手伝い等が主な仕事になります。

140万円の金額は確かに大きい額です。
しかしそれは、設計者が建主に代わって、家づくりにかける時間に対して支払われる金額です。

建主が望む快適で安心な家づくりを、専門家としてお手伝いするのです。
しかし、それだけでなく設計者はローコスト化を心がけています。
今までの経験から、出された見積りのチェックで工事金額が高いと思えば、安く仕事をする職人やメーカー、器具等の紹介をします。

監理は、設計図に基づいて工事をしているか、現場で直接見るのです。
最近、欠陥、手抜き工事とテレビ等で盛んに取り上げられていますが、専門家が確認しますから安心です。
また、色決め、材料の最終決定等のアドバイスをします。
それだけではなく、事務所内で、工事会社から出される施工図をチェックしたり、材料のチェックをしたりと建主に代わってする仕事量は多いのです。
これらにかかる時間に対して支払われるのが監理料です。


2. について(敷地が狭いので、設計者に頼むまでもない。)ですが、建物は土地という制約の中でしか存在しないわけですから、敷地によって建物の大きさが決定されるのは当然です。

しかし、同じ大きさでも内容が違った場合、住まいの価値は同じでしょうか?

私が考える設計−人間の心理を寸法(数字)で表現する行為−の重要性はここにあるのです。

特に狭小敷地では、どうしても建物全体面積が少ないわけですから、いかに有効利用するかです。

その場合は建物全体の可能面積を出し、間仕切りをして割って、必要室の面積を確保していく方法が一般的です。
これは、大きな敷地で理想の室を並べていくのとは逆になるわけです。

それだけに時間をかけて、もっとよい方法はないか理想を探すのです。
そうすると、かけた時間だけ結果がよくなるのです。

1日や2日で間取りを描いて設計が終わるのではなく、設計者は平面のみならず立体的に検討し、光や風通し等、あらゆることを考えて設計するのです。


3. の普通の住まいでよい−についてですが、本来どんな人も生まれながらにして、住まいについての基準を持っているわけではないと思うのです。
何らかによって、学習したり、体験しているのです。

昔のように土地も広く、人々の生活があまり異ならない時代は、大工の棟梁が設計し、同じような建物で満足できたでしょう。

しかし、今日のように都市居住者の生活が多様化してくると、それぞれの生活に合った住まいが必要になるのではないでしょうか?

まして、狭小敷地となると1m2も無駄にはできません。
専門家の知恵は役に立つと思いますが…。


4. について(その他の方法が自分たちには合っているから。)は、自分に合っていればそれでよいと思います。

しかし、一般の人はとかく住まいを想像するとき、切り取られた生活場面は描けるが、全体像が描けないものです。
その点を何でうめるかです。
住宅展示場や営業マンのセールストークでうめることができるでしょうか。
実はそのことが家づくりの一番難しいことなのです。


以上のように1.〜4.までの小住宅を設計者に頼まない理由に対して、知らないがために誤って理解しているのではないかと思われることを挙げてみました。


それでは、実際に設計を頼む人は、何を期待し、設計者をパートナーに選択したのでしょうか?

次号から実際に私が手掛けた例を紹介いたします。

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ローコスト住宅 設計ノート(1) 狭小地の住まい造り
ローコスト住宅 設計ノート(2) 設計者に依頼しない理由
ローコスト住宅 設計ノート(3) 私共の関わった住まい
ローコスト住宅 設計ノート(4) 合見積の結果


ローコスト住宅 山城正幸の設計ノート(3) ――「ニューハウス」掲載

ローコスト住宅 設計例

前回までは、「もっと設計者のことを知って、知恵を拝借したり、共に考えてみてはいかがですか?」と言いました。
以前、知り合いから、建築家と設計者はどこが違うのかと質問がありました。
実は、日本には厳密な定義はありません。
設計者を皆同じにくくってしまうと、メーカーや工務店に勤めている人もいれば、建物の確認申請の代理業務を主にしている設計者も入ります。
そこで、今回は、つくり手(工務店やメーカー)や売り手(不動産会社)からいっさいの拘束を受けず、純粋に建主のために設計・監理を専業としている人を建築家と呼ぶことにします。

それでは、実際に私共が関わって完成した建物についてお話ししていきたいと思います。

「実は、家を建てたいと思っていて、来月土地を20坪買う予定です。
建築資金は1,500万円しかないが、建つでしょうか?」
というKさんの奥様からの電話から始まりました。

奥様は、住宅雑誌社からローコスト住宅を多く手掛けている4人の建築家を紹介してもらい、それぞれの事務所へ電話をして、自分たちの求める家づくりが可能か聞いてみることにしたそうです。

ところが、話を聞いてみると、どの建築家も条件が厳しいせいか、
「安くやってくれる大工さんが、1年経てば今の現場が終わるからできる」とか、「現場近くにもう1件依頼がくるまで待て」とか、まったく想像していなかった逆条件を出されてびっくりしたそうです。(後日談)

確かに、ローコスト住宅の場合、建築家は慎重になります。
一定以上のグレードを確保し、依頼者が満足することはもちろん、自分も納得したいからです。
4人のうちの最後に話をした私も、希望を聞いた後、前述の人達と同じようにローコスト住宅の場合の心構えを話し、いくつかの条件を出して説明しました。
お互いの心情が合わない限り、これから先の家づくりの協力関係は成り立ちません。
私と会ってみる気持ちになったようです。
「一度事務所に伺います…」

お話を伺うと、

  • 希望する土地を購入することで、建築費に回す資金が少なくなってしまったこと
  • 不動産会社の紹介で工務店が平面図を持って来ているが、間取りはこれでいいのか
  • 工事内容のチェックもできずに不安なこと
  • 輸入住宅で安価なものはあるが、土地が有効利用できないこと
  • 1階に事務所をつくりたいが、住まいとの関係はどうしたらよいか
  • 3階建は近隣説明が必要なこと等々

いくつも解決すべき課題がありました。
自分たちの不安を解消し、理想的な家づくりの方法を探しているのです。

私と1時間程話をしたでしょうか。
「今月中に土地の契約をしたいと思っています。
土地代の返済とアパート賃料の両方の支払いはきついので、できる限り早く建物を完成させたい。
今日帰ったら主人に話をします。すぐ設計してほしい」というのです。
これは大変です。課題が多い上に急がなければなりません。

設計契約もそこそこに、まだ契約していない土地の分割に立会いました。Kさんは、私が土地を見ることで、土地の契約も安心してできるとのこと。これも専門家を味方につけた心強さです。
Kさん夫婦から住まいに対する希望を聞きます。
「ともかく自分たちの調達できる資金の中で納めてほしい。
間取りについては、自分たちはよく分からないので、専門家の意見を尊重したい」ということでした。

私共はまず資金計画表を作成しました。
この表は、建築資金、設計料、税金、引越費用等、どれほど必要か、また、月々の返済額を確認するためのものです。
Kさんが当初、建設費1,500万円と考えたのは、その他の資金として500万円程度必要になると考えてのこと。
要は、建物に関する金額が2,000万円以下なら、土地代も含めて月々の返済は何とかなるだろうくらいの考えです。
初めて家づくりをする人にとって、どんな資金が必要なのか分かりません。敷地に建てられる建物の面積、構造等を考えて、私共が資金の配分をして、確認してもらいます。OKです。

そして、いよいよ建物の設計です。
構造は敷地条件等と予算から、軸組木造3階建を提案しました。
3階建の場合、木造なら他の構造より安くできますし、計画の自由度が高いのです。

平面計画では、1階の事務所(奥様使用)と住まいをどのような関係にするかがポイントでした。

  • 中庭を設けて、一度外に出て、住まいと仕事場を区切ることで気分転換をはかること
  • 上階を大きく造っておくことで、将来の増築を可能にすること

を提案しました。

ところが、奥様の頭の中では、私共の案はまったく想像していなかったものなのでびっくりされたようです。
「実は、南側に庭を設けて、野菜を作りたい」と言うのです。
「小さい時から憧れていた」と言います。
「憧れる」の言葉は私の心を乱します。
私自身その気持ちを大切にと考えるからです。話し合いです。
以前に工務店から提案された計画があり、それとの比較もします。

話し合っている間に建物模型を造りました。
立体的に隣との関係も見てもらうためです。
これは、効果がありました。
何日か後、奥様から「野菜畑は無理があるようです。中庭タイプでいきましょう」ということで決定です。

設計は順調に進みます。
設計中に土地を買った不動産会社の人が、私共の図面を見て
「こういう建て方もあるのですね。でも、いくらで建てる予定ですか?」
と聞いてきました。
Kさんから全体予算を聞いていたので不審に思ったようです。
「本体価格1,500万円で考えている」というと
「本当にできるのですか?」と疑っている様子。

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ローコスト住宅 山城正幸の設計ノート(4) ――「ニューハウス」掲載

ローコスト住宅 設計例

「家を建てるのに土地を20坪買って、建築資金は1500万円しかないのですが、建つでしょうか」というKさん。
山城さんが土地の分割に立会い、資金計画表を作成して確認し、建物は木造3階建てに決定。さて、工事の見積りです。

設計図もできあがり、見積りです。
今回は、私共の紹介の工務店M社とS社、Kさんの知り合いの大工さん、知人の紹介の工務店P社とO社の5社で合い見積りをすることになりました。
図面を渡して見積りをしてもらいます。
出てきた金額は、M社1600万円、S社1880万円です。
そして、Kさんの知り合いの大工さん2056万円、P社2240万円、O社2257万円となりました。

しかし、M社の1600万円でも、まだ、希望金額をオーバーしています。
私共が、一番安いM社と交渉します。

見積りをすべてチェックしました。
全項目が安いのです。
その中で、サッシ、木建具、エアコン工事が割高です。交渉し、47万円減額
それから、ベランダの床板を足場板という安い材料に変更して7万円の減。もう少しです。
洗濯流し、トイレの埋込手洗いは取り止めます。6万円減
合計60万円減額になりました。

ここで、Kさんに報告します。
これ以上の減額も可能ですが、生活に我慢を強いることになります。
「エアコンを取られると当面の生活が不便で困るのでこれで良い」とKさんも納得です。
1540万円でM工務店と契約することになりました。

他の工務店に見積り参加のお礼と断り状を出します。
いつも合い見積りをして感じることは、どの工務店も特別な努力もしないで、自分達の見積金額が一番正しいと思い込んでいることです。
今回もある工務店の社長は、「そんな安い金額で請け負うなんて、ろくな仕事しないよ」とKさんに言ったそうです。
建築家の設計した仕事を経験していないのでしょう。
図面がなければ、確かに自分達のさじ加減でどうにでもなるのでしょう。

しかし、40枚近い図面にそって、仕事をするのです。
手抜きなどできません。
まして、専門家が現場監理をするのです。
そんなことを心配するより、条件が同じで、40枚近い図面で見積りをするのに一番金額の高いところとではなぜ657万円の差額がでるのでしょうか?そのことを考えてほしいのです。
見積金額に差がつく要因はいくつかあります。
会社の規模による経費の違い、利益率の見方、そして職方の人件費の違いです。
今回、会社の規模はほぼ同じです。
しかし、工事金額の1/3を占めた木工事が、大工手間だけで75万円の開きがありました。
何十項目ある建築の職種です。
少しずつの金額の差も大きな差になります。
外に目を向けず、今まで通りにやっていては企業努力はできません。
私共は、いろいろな工務店から見積りを取っているので、工事費の調整ができるのです。

いよいよ、現場です。私共が監理をします。
過去に何十棟の木造現場を見ています。
現場のチェックポイントもわかります。
特に軸組3階建ては、間違いがおこりやすい所が何ヶ所かあります。
工事がその工程に到達したら検査に行きます。

まず、基礎です。今まで木造の基礎は鳶職が造っていました。
2階程度ですと、簡易な鉄筋が入っていれば安全だったので問題はなかったのですが、3階建ての基礎は建物が重くなる分、構造計算によって鉄筋の本数と組み方を指示するのです。
手間がかかります。
本来は鉄筋工の仕事だけに、鳶職によっては鉄筋組をいい加減に造りがちです。

K邸でもそうでした。
役所検査があり、立会いに事務所の若い人間が行きました。
報告を聞くと、1ヶ所のみの指摘だったと言うのです。
それはまずい。M工務店には監督がいません。
現場の職人任せなのです。
鉄筋の役割を知りません。
今までの経験から、役所の係官がよく検査をすれば、何ヶ所も指摘事項があるはずです。

私が翌日朝一番に現場に行きました。
やはり、正規の鉄筋の組み方になっていないのです。
現場の職人に説明して直してもらいます。
「わかった。直して置くよ。」という言葉を信用しないわけではないのですが、心配でその翌日も現場へ。
直っていません。
工務店の社長に電話をすると共に、その現場で何ヶ所も修正してもらいます。

M工務店が私共の仕事をするのは、今回が2件目です。
社長以下皆さんが、一生懸命仕事をするのはわかっています。
でも、基礎工事に関しては、現場検査に何回か行く必要があることは、前回の工事を見て覚悟していました。
基礎は埋まって見えなくなるだけに、確認は絶対にしなくてはなりません。

今回の工事は、工期が短いこと、私共の設計ということで、M工務店で一番信頼できる大工さんが担当することになりました。
この大工さんであれば安心です。
現場へ行って図面を見ながら確認します。
大工さんも手を休めて打合せをします。事前に打合せをしているので、間違いもなく工事は順調に進みました。

完成間近になって、奥様から「押入れの扉の開き方が要望した物と違う」と電話です。
「あっ」そうなんです。
フリータイプの扉にしてほしいと言われたのを既製品と同じでストッパーを外せばフリーになると思い、大工さんに伝えていなかったのです。
私のミスで、仕上がっている埋め込みレールを取替えるはめになってしまった大工さんは、いやな顔もせず、「はいよ」と取替えてくれましたが申し訳ない。

いつもながら、ローコスト住宅は、一般の住宅以上に神経を使います。
しかし、完成した建物を建築主に喜んでもらうと、そんな苦労も忘れてしまい、また、挑戦しようかなと思うのです。
これが物づくりに携わっている人間の性というのでしょうか。

 

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